あらうんど日吉台 – 飯室不動と安楽律院

日吉台はびわ湖と比叡山の景観に恵まれ、坂本や比叡山の歴史的文化遺産にも近く、少し歩けば里山の自然にも触れることのできる大津でも一番の(多分・・・)住宅地です。 「あらうんど日吉台」は日吉台周辺のスポットやお散歩コースを写真と共にご紹介するコーナーです。

全体図 飯室谷付近の拡大図は下の地図を参照

全体図 飯室谷付近の拡大図は下の地図を参照

今回は日吉台から飯室不動、安楽律院方面に向かってみる。 先ずは中央通り(小学校の前を通るバス通り)を坂の上(文中の距離は全てここから)まで上がり、左手の給水施設の横の細い道を西に向かう。 このあたりはちょうど日吉台側の高橋川に向かう谷と、千野側の大正寺川に向かう谷の尾根になっていて見晴らしが良い。

400m程歩くと県道47号線に突き当たる。左手が西教寺方面で右手に進むと今回の目的地飯室不動方面だ。 しばらく進むと写真の様に高い木々に囲まれた細い道になるが一本道なので迷うようなことは全くない。 ただ、この県道は千野から仰木に繋がっているせいか、この日は思ったよりは車が通っていた。

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約1.3km、20分程歩くと「飯室谷不動堂」の標柱が見えてくる。 県道はここでVターンして千野・仰木へ向かうが、県道から左に折れると飯室不動堂だ。

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飯室谷不動堂ホームページによると、飯室谷は古来からの「比叡山三大魔所」の一つで、魔所というのは「恐ろし処という意味ではなく、清浄地であることより、ことの他、身を慎み、殺生などをしてはいけないという地」とある。 因みにここの長寿院は千日回峰をされた藤波源信大阿闍梨がご住職をされているそうだ。
この辺りはパワースポットとして取り上げられていることも多く、日吉台中心部から徒歩30分程度で来られるとは思えない程、別世界の様な清真な雰囲気を感じることができる場所だ。

飯室谷付近拡大地図

飯室谷付近拡大地図

下写真に見えている八角形のお堂は千手堂で、この奥に狛犬に守られたお不動さんが祀られている。 このお不動さんはお堂の中ではなく外からアクセスできる屋根の下?にいらっしゃるので、お堂の中の仏様と違っていつでもお参りできるようになっている。

正面石段上の建物は千手堂

正面石段上の建物は千手堂

さらに進むと長寿院への石段があり、上に見えるお堂の正面には「不動明王」の額がある。 ご本尊はこのお堂に安置されていると思われる。
地図上ではもう一つ奥に松禅院という建物があるが、この日は門が閉ざされていて入ることが出来なかった。 長寿院から松禅院までは苔むした穴太衆積みの石垣に囲まれた道で繋がっているが、門と同様にこの日は途中で閉鎖されていて通り抜けは出来なかった。

正面石段上が不動堂

正面石段上が不動堂

長寿院と松禅院を結ぶ石積の道(松禅院側から)

長寿院と松禅院を結ぶ石積の道(松禅院側から)

さて、次は安楽律院に向かおう。
先ほどの県道47号線のVターンの場所に戻ると、10m程千野・仰木よりの場所に「安楽律院」の矢印看板があるので、それに従って10段ほどの石段を上がる。 突き当たりの細道を右手に進むと上り坂が100m程続き、やがて道が平坦になったところに「攝僧大界并攝衣界」「不許葷酒入門内」と書かれた2本の結界石柱が立っている。 修行の邪魔になるような俗世の穢れを持ち込むな・・・ということだと思うが、取り敢えず「お邪魔します」と頭だけ下げて先に進むと、今度は下りの立派な石段があり、その先に山門が見える。

右手前の石柱には攝僧大界并攝衣界、左奥の石柱には不許葷酒入門内とある

右手前の石柱には攝僧大界并攝衣界、左奥の石柱には不許葷酒入門内とある

奥に見えるのが山門

奥に見えるのが山門

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現地の案内板には「安楽律院 安楽谷は横川飯室谷の別所である。恵心僧都なども隠棲したところであったが、江戸中期に妙立、霊空らがきびしい戒律主義を唱導し、その一門を安楽律とよびここに住した。 律院はおしくも放火でほとんど失った。 ここには比叡山を愛した藤原定家の碑、爪塚などがある。」と記されている。 安楽という語感とは裏腹に、きびしい戒律のもとに修行に励んでいたということらしい。 残念ながら放火で建物は焼失したようだが、今は礎石のような遺構と仮の本堂がひっそりと佇んでいる。

焼失した建物の跡

焼失した建物の跡

仮本堂

現在の仮本堂

日吉台周辺には多くの歴史的建造物や神社仏閣が散在するが、これ程日常とのギャップを感じさせてくれる場所は少なく、気分転換にはお勧めのウォーキングスポットだ。 但し県道とはいうものの、時間帯と日によっては殆ど人通りが無い可能性もあるので、その点は注意された方が良いかも知れない。 徒歩はちょっと・・・という方は西教寺前信号を右折して県道47号線に入られると良く、現地には駐車場も用意されている。 尚、飯室不動の湧き水「明王水」も有名だが、こちらについては現在は飲用不可の標記があった。念のため。